11月21日 「縄文とSDGs」のワークショップを行いました。
この日のゲストは「国宝・縄文のビーナス」発掘責任者の鵜飼幸雄さん(前尖石縄文考古館館長)と、「国宝・仮面の女神」発掘責任者の守矢昌文さん(現尖石縄文考古館館長)というお二人のチョー豪華メンバーでした。お二人からそれぞれの発掘の時のお話、そしてこの国宝が持つ意味などについて説明がありました。数万点もある縄文時代の考古学的資料の中で国宝はわずか6点だけだそうです。そのうちの2つがこの八ヶ岳山麓にあることからだけでもこの一帯の価値は十分に分かります。考古学的に重要なことはこの2点の国宝ともその発掘状況が明確に記録に残されていることとのことです。それが国宝としての価値を裏付けているという説明がありました。さらに、「尖石石器時代遺跡」は「特別史跡」に指定されておりこれも国宝に準ずるものであることから、この一帯が縄文時代の研究にとって非常に貴重な場所であることを改めて知りました。
「縄文のビーナス」は平成7年に、縄文時代のものとしては初めて国宝に認定され一気に縄文ブームを引き起こすきっかけとなりました。その勢いは日本に留まらず2009年には大英博物館(ロンドン)で「Power of DOGU」が開催され、2018年にはパリ日本文化館で「JOMON」が大々的に開催され、「縄文のビーナス」、「仮面の女神」は広く世界で注目が集まるようになりました。
しかし、こうした貴重な遺物も地中の中に眠っていただけでは何の価値もありません。それらを発掘するのはその地域の「文化力」に関係していることを聞きました。時間が非常にかかる発掘への理解、協力、そして指導する研究者とそれを支える市民の力も大切であることを聞きました。その意味で諏訪地域は「縄文」・「考古学」に対する理解が深く、宮坂英弌先生、藤森栄一先生、戸沢充則先生どの著名な考古学者を数多く輩出し続けています。
「縄文のビーナス」、「仮面の女神」は単に考古学的に価値が高いだけでなく、そのフォルムの大胆さ、美しさなどから多くの芸術家からも絶賛されています。縄文に刺激を得て大阪万博の太陽の塔を建設した岡本太郎は有名な一例ですが、それ以前にも民藝運動の濱田庄司、バーナード・リーチらも影響を受けていました。長野県に縁のある画家の池田満寿夫(1934-1997)も西洋美術史一辺倒だったが縄文土器に出会い大きく影響を受けたそうです。 現在は、自然環境悪化とか、持続可能な社会を作るなど喫緊の課題の中で世界中が道を模索しています。そうした中で自然と共生して1万年以上の時を刻んだ縄文時代が非常に注目されてきています。このワークショップではSDGsの視点からも今後論議を深めていく予定です。