「学びのワークショップ」レポート  「ゲーム理論を使って数学的に選択しよう」(2回目)

12月12日「学びのワークショップ」の一つ、「たのしい数学」の講座が「すわっチャオ」(上諏訪駅前)で開催されました。

ファシリテーターとして、数学をわかりやすく「翻訳」するフリーアナウンサーとして活躍中であり、横浜国立大学大学院に在籍中の篠崎菜穂子さんを再度お迎えできました。前回11月14日に「記数法を使ってコンピュータの世界をのぞいてみよう」では、数々の面白い問題で頭脳を楽しく使って、数学の面白さを体感しました。今回はゲーム理論についてです。

「ゲーム理論」ということで、まずは参加者の方々の「ゲーム」に対するイメージをお聞きするところから。麻雀、囲碁将棋、AIによる判定、熱中してしまう、など。そして「選択肢から選ぶ」。これがずばりゲーム理論とは
   勝ち負けの決まる状況で、勝つためにはどういう選択をするか
という学問である、ということにつながりました。

 まず学校対抗クイズ対戦で、過去の成績から誰を送り込むかを決定する例からです。表に整理して客観的に状況を俯瞰することが重要であることがわかりました。

 次に有名な囚人のジレンマで、ゲーム理論から導かれた個人の利益と全体の利益が矛盾することを知りました。印象的だったのは、大人は勘で結果を出した一方、高校生は今聞いたばかりの、表を使ってゲーム理論で結果を導き出す方法を用いていたことです。

 ゲーム理論が実生活に結び付いた様々な分野で利用されていることも、簡単な例で示されました。経済では、値下げ競争からデフレスパイラルに陥る2件のパン屋の例、また経営戦略では、アプリ開発会社がどのOSを採用するかを決定する例、そして、単純に選択することは難しい場合の解決方法を考えるという次のステップへの入り口も見えました。

 参加者からは「日常生活では無意識にwin winを心掛け、全体の利益を考えている」「自分の利益だけを考えると、損したり相手との関係が崩れて、先々を考えるとゲーム理論だけでは無理があるのでは」などの感想が聞かれました。篠崎さんからは、時間軸を考慮したりさらに複雑なケースも扱う、という、ゲーム理論の奥深さのお話をお聞きできました。  最後に提示された「兄弟で一つのケーキをどちらも満足する方法で分けるには?」という問いに、高校生が自身の経験から見事に正解した方法が素晴らしく、これぞゲーム理論の原点といえる、という篠崎さんの言葉に納得させられました。