3月29日(水)、本NPO主催「学びのツアー」の2回目を実施いたしまた。
場所は昨年度と同じ、「つくば宇宙センター」(つくば市)と「国立科学博物館」(上野公園)です。
募集開始わずか20分で満員となる盛況ぶりで、コロナ禍も落ち着きをみせた中、児童生徒38名、引率大人6名の総勢44名が大型バスで行きました。
昨年の反省から、見学時間を十分に取る配慮をして、出発は5時30分でした。おかげで、見学個所はそれぞれ2時間の時間を確保できました。
児童生徒は自ら事前に調べておいた見学ポイントに従い、自らの判断による単独見学行動で目的を達成したようです。それぞれに、本物のロケットや人工衛星、大型動物のはく製、恐竜の骨格標本等に大きな感銘を受けたようでした。これらの経験は今後の学習意欲の向上や自分自身の大きな成長を感じる機会となったと思います。
引率者としては、大半が見ず知らずの小学校4年生から中学2年生の集団でしたが、事故がなかったばかりか誰一人として集合時間に遅れることのない統率の取れた集団行動に深い感銘を受けました。
丁度、時期的に桜が満開で、「つくば宇宙センター」でも「上野公園」でもお花見も楽しめました。
帰りのバスが首都高速で渋滞に巻き込まれ、帰着が40分ほど遅れてしまいましたが、出迎えの保護者の皆様からは厚い感謝の言葉をいただくことができました。
追って掲載される参加児童生徒の感想文にもお目をお通しください。
公開シンポジウム「今こそ若者にも知ってほしい待ったなし!地球温暖化」レポート
1月28日(土)、本NPO法人主催の公開シンポジウム「今こそ若者にも知ってほしい待ったなし!地球温暖化」をつくば市からお二人の研究者を招き、諏訪地区高校生約50名の他、一般参加者約20名が参加のもと、諏訪市駅前交流テラスすわっチャオで開催いたしました。
最初に功刀正行氏(一般財団法人環境イノベーション情報機構理事長)から「地球温暖化対策の現状」と題し、多数の資料を基に基調講演をいただきました。
功刀氏は、「地球温暖化は紛れもなく人類の諸活動がもたらした現象であること」、「原因の一つである二酸化炭素の排出量の現状は地球温暖化を2030年までに1.5℃上昇までに抑えるにはもう5~6年の猶予しかないこと」、「解決にはもはや自国政府にまかせるのではなく『気候民主主義』という理念のもとに結集する利害関係のない人々の取り組みに期待するしかないこと」などを提案されました。
会場からは、「まもなく終わる私の人生では問題ないかもしれないが、これからの人生を歩む若い世代は真剣に取り組む必要があること」、「30年前には日本も公害という環境破壊が話題になったが、その頃には地球温暖化という問題意識は存在していなかった。身近に感じた公害に比べて地球温暖化の問題はスケールが大きすぎて肌で感じにくい。このまま放置したら、今の高校生が大人になって活躍する30年後は恐ろしい事態になってしまう」などの感想が出されました。
基調講演の後には福村佳美氏(筑波大学大学院博士課程)から携帯電話を用いて、「気候変動時代の君たちと諏訪のミライ」と題したワークショップを行いました。
福村氏はユネスコの無形文化財である日本各地の雪氷文化(御神渡りなど)が地球温暖化により危機に瀕している現状を踏まえ、高校生にこの現状を解決する方法を尋ねました。
高校生から、SNSを通じて現状を発信するなど様々なアイデアや行動が提案されました。福村氏は、高校生の声を深め合いながら「無形文化財は一度消滅したら復活は難しい」「日本は世界最先端の科学技術と御神渡りや御柱祭など自然への畏敬が同時に存在する稀有な国であること」「人間は自然の一部であるという自覚が大切」であることなどを高校生に訴えました。一般の方も、「下駄スケート」「御神渡り」など諏訪の雪氷文化を後世に残していかなければいけないとの認識を深め合いました。
アンケートの結果より、参加された方多くの方々が今回のシンポジウムを有意義に感じたとの声が寄せられました。また、功刀氏からは参加者に自身の著書「人間環境革命の世紀」60冊が寄贈されました。
「学びのワークショップ」レポート「たのしい数学」(3回目)
12月18日、「学びのワークショップ」の一つ、たのしい数学 「地図は何色で塗り分けられる?~四色問題~」の講座が「すわっチャオ」で開催されました。
ファシリテーターとして、昨年度から5回目、いつも数学で楽しませてくださる篠崎菜穂子さんをお迎えしました。フリーアナウンサー、大学院生、現在は修士論文作成に大忙しとのことです。今回は、四色問題と呼ばれるグラフ理論です。
参加者は色鉛筆で地図の塗分けに挑戦です。隣り合う市町村が同じ色にならないように、まずは諏訪周辺、南信、長野県とだんだん地図も大きくレベルアップしていきます。いったい何色あれば塗分けられるのでしょうか?
途中で行き詰まったりして、白地図のお代わりをする方もちらほら。ワークショップのタイトルから、多分4色で塗り分けられるのだろうと予想し、皆さん頑張りました。
複雑な地図を点と線で表して、これぞグラフ、ということで、様々な分野で活用されているグラフ理論の入り口を知ることができました。郵便配達のルート、携帯の基地局の設置場所もグラフ理論を用いて決めるとのこと。
「地図は4色で塗り分けられる」ことの証明は、エレガントではなくコンピュータを使ったしらみつぶしのエレファントな証明が行われたなどの歴史も興味深かったです。
「なんとなくそうかなーと思えるシンプルな問題ほど証明は難しい」ということが印象的でした。
今回は色塗りで盛り上がり、全員童心にかえって色塗りに夢中になり、そこから数学のグラフ理論という現代になくてはならない数学の一分野に触れることができ、有意義な時間を共有できました。
「学びのワークショップ」レポート「地図で読み解く国際情勢と歴史」(2回目)
11月12日、学びのワークショップ「地図で読み解く国際情勢と歴史」(2回目)の講座が「すわっチャオ」で開催されました。
受講者の感想
民主国家と専制国家について、地図を通して学びました。専制国家には選挙による政権交代が無く、50年ほど前の世界では国々の7割から8割を占めていることが、白地図で色塗りをして確認しました。
そうしてみると、日本は「ロシア」「北朝鮮」「中国」ののど仏の様な位置にあること、アメリカ合衆国とキューバとの関係に似ていることや、北極中心の地図を眺めると、「ロシア」と「アメリカ合衆国」は北極海を挟んで対峙していることが分かりました。
「学びのワークショップ」レポート「地図で読み解く国際情勢と歴史」(3回目)
12月11日、学びのワークショップ「地図で読み解く国際情勢と歴史」(3回目)の講座が「すわっチャオ」で開催されました。
受講者の感想
武田信玄は何故諏訪侵攻にこだわったかを、諏訪の地理的条件や歴史から紐解きました。
武田家の甲斐の国は決して裕福な地域ではなかったのに対し、間近な諏訪は恵まれていることが多かったことが魅力的だったようです。特に、諏訪を足掛かりに信濃の国を平定するには棒道を始め、幾つかの街道を通じて容易であった上に、食料の生産が豊かで兵糧米等は現地調達ができた。また、古くから諏訪大社信仰の中心で、全国の諏訪神社から情報が集積できることや鹿食免により肉食に伴う文化から体力的にも優れた兵力が確保できたことも大きかったことを学びました。
ワークショップとして、実際に当時の兵士らが身に着けていた鎧兜を身に着けてみると、大変な重さ(10数㌔)に驚きました。信濃国には大きな大名が存在しなかったこと、その中で諏訪は諏訪氏・大祝家が長く存続した利用などを話し合いました。結論は、狭隘な盆地が多かったことや諏訪大社の力を利用するのに便利だったことに辿り着きました。
「学びのワークショップ」レポート「ワインと温暖化」(1回目)
10月16日、学びのワークショップ「ワインと温暖化」(1回目)の講座が「すわっチャオ」で開催されました。
受講者の感想
ワインにはそれに適した「カベルネソーヴィニヨン」や「メルロ」といったブドウがあり、甘み(糖分)の他に適度な酸味とのバランスが大切である。
それが地球温暖化の進行により、適地が適地でなくなりつつあること、また、対応できる品種改良にも努めているが、産地も変貌しつつあることを学びました。
そうした傾向の中で、日本でも山梨県から長野県、長野県の中でも桔梗ヶ原より海抜の高い地域に移りつつあることと、10年後くらいには原村が適地になることが予想されるそうです。
その時に備えて、ブドウの苗木を育てていくことが地域の活性化に繋がり、また、単なるブドウ産地だけではなく、ワイナリーの開設やブドウ畑・ワイナリーの一株株主になったり、自然とのコラボしたワイナリー巡り(バス仕立て)を展開するアイディアをワークショップ活動を通じて学びました。
「学びのワークショップ」レポート「地図で読み解く国際情勢と歴史」(1回目)
10月16日、「学びのワークショップ」「地図で読み解く国際情勢と歴史」(1回目)の講座が「すわっチャオ」で開催されました。
受講者の感想
世界の動向は海洋に出たいランドパワーの国々(ロシア・ドイツ・中国等)と大陸に押し止めたいシーパワーの国々(英国・日本・アメリカ等)とのしのぎ合いの歴史であり、ロシアとウクライナはそのランドパワー同士のぶつかり合いの象徴とも言える。
シーパワーの国はその権益を守り、拡大するために世界のチョークポイント(海峡・運河)を支配してきた。かつての大英帝国がその代表といえる
ランドパワーの代表である中国はもはや海への進出しか残されていないが、その際に邪魔な存在の国の代表が日本(沖縄)・台湾・朝鮮半島である。中国はまた、一帯一路政策を通じ、インド洋でも真珠の首飾りといわれるインド包囲網を構成しようとしている。
以上のようなことを、白地図で作業しながら学びました。
講師のねらい
この講座では、地図を使い、現代社会の知識を「視覚化」していくワークショップを行っています。私たちのもっている知識が偏っているとしたら……こういう前提で地理的な知識を考えてみると、イメージとは異なる社会情勢が見えてきます。
次回は、民主主義国家対独裁国家について、私たちが暮らしている民主主義国家と私たちが悪とイメージす独裁国家とは、どういうものなのか、ワークショップを通じて、常識の変換を図っていきたいと思っています。
「学びのワークショップ」レポート「たのしい数学」(2回目)
11月20日、「学びのワークショップ」の一つ、たのしい数学 「不思議な幾何学の世界~M.C.エッシャーの世界~」の講座が「すわっチャオ」で開催されました。
ファシリテーターとして、第1回で、どんどん増える栗饅頭の楽しいお話をしていただいた篠崎菜穂子さんをお迎えしました。現在は、フリーアナウンサー以外にも、企業での研修講師として飛び回っていらっしゃるそうです。
今回は、テセレーションと呼ばれる、同じ形の図形を隙間なく敷き詰める幾何学に挑戦しました。2種類のたくさんの紙の四角形を、逆さにしたり裏返したり、パズルのように机の上で並べて敷き詰めてみました。
また様々な敷き詰め模様について、基本図形を見つけ、17パターンのどれで敷き詰められているのか、頭をひねりました。だまし絵で有名なエッシャーの絵にも挑戦しました。エッシャーは没後50年ということで今その作品の分析が盛り上がっているようです。
最後は実際に折り紙を使ってオリジナルの敷き詰め模様を作成しました。短時間でしたが、皆素敵な作品が完成しました。今回は、紙とはさみを使う数学で、「あれれ」「逆じゃないかな」などとても楽しく幾何学を学ぶことができました。
「学びのワークショップ」レポート「たのしい数学」(1回目)
10月16日、「学びのワークショップ」の一つ、たのしい数学 「いろいろな所に隠れたいる指数・対数」の講座が「すわっチャオ」で開催されました。
ファシリテーターとして『はたらく数学~25の仕事でわかる数学の本当の使われ方~』の著者、篠崎菜穂子さんをお迎えしました。数学をわかりやすく「翻訳」するフリーアナウンサーとして活躍中であり、横浜国立大学大学院に在籍中です。ビジネス数学に力を入れておられ、各所で講座も開催されています。
講座の最初で、茅野市には、著名な数学者の小平邦彦氏の実家、藤原正彦氏のお母様の実家があるということをお聞きし、数学と諏訪とのつながりを感じました。
まずは参加者が手を動かして数学の不思議を感じるところから。
配られたカードに、表に赤で1~8の数字を書き込み、裏に青で、2、4、8と2倍していった数を記入しました。さてカードを2枚取り出し、青の数字の掛け算をしようとすると、大きな数で大変です。ところが裏の赤の数を足し算して、その結果のカードの裏を見ると、あら不思議、大変な掛け算の結果がちゃんと出てきます。
2のべき乗の掛け算から、指数のついた数の計算を感覚的に知ることができました。さらにカードを増やしていきましょう、ということで、参加者の皆さんはどんどんカードを増やしていって、止まらなくなるほどでした。
次はドラえもんの「栗饅頭問題」です。2倍2倍とどんどん増える栗饅頭の数が、宇宙の星の数10の23乗と「ほぼ」同じ数になるのは何時間後か?という問題に、皆さん頭をひねっていました。
その他にも、対数のlogの紹介、ネイピアの功績、さらには、コロナの新規感染者数、ピアノの音階と弦の長さ、人間の五感、地震の震度、など、身近なところに様々な形で、指数や対数が隠れていることを紹介していただきました。
参加者からは「赤青のカードで、へーと発見することができた」「栗饅頭に驚いた」「もっと若い時に聴きたかった」他「ネイピアはネイピア数のネイピアか?」「カードは3つでも成り立つか?3倍3倍でもできる?」「2の0乗の決め方について」など質問が相次ぎました。
一見難しい指数や対数について、手を動かして理解したり、ドラえもんや身近な例を使って解説されたり、楽しく有意義な時間を過ごすことができました。
たのしい数学第1回配布資料 ⇒
松下幸之助記念志財団/JST 次世代研究者挑戦的研究プログラム「異世代間にみる気候変動対策への視座」討論会レポート
日時:2022年7月27日(水)9:30~17:00
開催場所:すわっチャオ 会議室
主催:筑波大学大学院 修士課程3年 福村佳美
気候変動が大きな課題となる中、スウェーデンの学生、グレタ・トゥンベリさんが各国政府に対し、気候変動対策の強化を訴えていますが、いまだ対策が進んでいません。これは、気候変動の影響が地理的・社会的条件によって異なり明確に捉えがたいことから、どこか「他人ごと」と捉えられることが多いためです。よって、気候変動の課題はそれぞれの地域の視点からとらえる必要があります。
気候変動は、私たちの文化とその継承に大きな影響を与えています。思想家の和辻哲郎は「気候は風土を造り、風土は文化を育む」としました。諏訪の気候は御神渡りの文化を育ててきましたが、近年の地球温暖化により明けの海が続いており、藤原咲平先生によって科学的な役割を与えられた御渡帖は、今や世界の気候変動学者の注目を集めています。しかし、この伝統文化の継承に対する気候変動の影響や地域の気候変動対策のあり方についての探求は十分に行われてきませんでした。
そこで、本討論会では、御神渡りの継承から気候変動を考えることで、気候変動対 策が「自分ごと」となるかを検証することを目的に、次世代を担う高校生と、気候の変化を体感し文化を継承してきたシニア世代とが討論を通じて、気候変動時代の御神渡りの継承から、持続可能な地域社会のあり方を考えることを目指します。
気候変動について異世代のグループワークを通して、自分事として捉え始めるきっかけになったのではないでしょうか。